01 開発のきっかけ
阪神淡路大震災を自ら体験した前泉澤央、渾身の発明品「コボット」
(まえいずみ たくお・株式会社国元商会前会長)
激しく突き上げられ、大きく横に揺れました。わずか数十秒のうちに、私の家も周囲の住宅も倒壊。よく生命があったものです。日本に住む限り、まして建設資材のメーカーの責任者として、なんとしても地震に耐える建物を実現しなくてはならない。そんな強い使命感のもと、約1年をかけて夢中で取り組んで創りあげました。
木の家を愛するすべての人にささげます。
国元商会・開発室より
阪神・淡路大震災の時、倒壊したほとんどの木造家屋は土台から柱が抜けたのが原因でした。柱が土台から抜けないために、コボットの取組がスタートしたのは地震の直後からでした。その後、建築基準法が改正され、柱と土台には必ず柱が抜けないように接合部には耐震補強金物をつけることが義務づけられました。
それまでの補強金物は柱と土台をガッチリ固定したものがほとんどで、地震で柱が大きくゆれると柱に大きな負担がかかります。
コボットは、その独特の丸みで柱がゆれても、変形しながら柱とともにゆれることで、土台から柱は抜けることはありません。
そしてこのコボットにブレースを張ることで壁そのものも補強できると開発されたのが、今、国土交通大臣認定となっている「コボットステンブレースシステム」なのです。
壁の強さをあらわす基準には壁倍率という基準がありますが、これは壁そのものの強さをあらわす数値。しかし最近地震に対して壁そのものを、ただ強くするのではなく壁にも靭性、しなやかさを持たせることが地震に対して有効であることがわかってきました。
その結果、コボットのステンブレースシステムの壁補強が今とても注目を集めているのです。